34歳の時、私は家を25年ローンで購入した。
新築の一戸建てではなく、中古の一戸建てである。
日本ではまだまだ中古住宅を購入する方は少ない。
国土交通省の資料【既存住宅流通を取り巻く状況と活性化に向けた取り組み】によると、全体の14.7%の流通量(平成25年)ということである。
では私がなぜ新築ではなく中古一戸建てにしたのか。
それは事前準備で間取りと予算を決めた結果である。
そして、なぜ分譲マンションではなく一戸建てなのか。
それは修繕積立金の存在である。
家を買おうと思った時、最初から不動産屋へ丸投げせずに、まず情報を整理したり家計を見直すことは非常に重要である。
本記事では、実際に私が家を購入する前におこなったことや手順を紹介していこうと思う。
方法論として少しでも参考になれば幸いである。
目次
家の間取りを決める
購入を本格的に検討し始めたとき、まず夫婦で希望する間取りの条件を決定した。
3LDKの根拠は、子どもは1人と決めていたから。
子ども、元妻、私それぞれに1部屋という計算である。
寝室を考慮すれば、それぞれ1部屋+寝室でできれば4LDK、最低でも3LDKという希望。
これは元妻、リンともに一致した意見だった。
他に一致していたのは庭はできれば狭いか、無くても良いということ。
元妻も私も庭いじりなどにまったく興味がなかったからである。
家の予算を決める
条件1だけだと条件を満たす家は多すぎて絞り込むのが大変だ。
さらに絞り込むために、次は予算を決めることにした。
住宅ローンの返済は1馬力か2馬力か?
月々の住宅ローンの返済は、私の収入だけでおこなっていこうという話し合いをしていた。
そうしておけば、子どもが大きくなって元妻が働きに出た場合の収入は、住宅以外か繰上返済にまわすことができる。
2馬力だと予算額は高くできるが、万が一の病気や怪我、そして出産時は1馬力となることに留意が必要だ。
住宅ローンの返済月額のイメージをする。
かなり悲観的な見通しだが、会社の賃金テーブルを見ると管理職にならないと給与は定年までほとんど上がらないことがわかっていたし、その管理職の状況も約10年変動がなくこの先10年も顔ぶれが変わらない可能性が高いと判断したからである。
もし幸運にも収入が増えたとしたら、それは住宅ローンには使用せず、他の事に使うことができる。
月々の返済金額決定までの流れ
- ローンの支払額を給与手取りの25%以内に抑える。
当時の給与手取(月22万円)×25% = 5万5千円(A) - ボーナスはでるか分からないので、支払に組込まない(不確定要素の排除)。
ボーナス払い = 0円(B) - 固定資産税と修繕費を差し引く。
5万5千円(A+B) - 1万5千円(固定資産税+修繕費)= 4万円
固定資産税については、一戸建てにしろマンションにしろ所有権があれば、必ずかかってくる費用である。
固定資産税の金額は、固定資産税の評価額×1.4%(平成29年2月現在)である。
固定資産税の牙額決定に使われる固定資産税の評価額とは?
土地の場合:公示価格の70%の額
家屋の場合:まったく同じ家屋を作ったとしてかかる建築費から、経過年数に応ずる損耗を考慮した価格
修繕費を考慮しておくことで、1万円であれば年間12万円、10年間で120万円の修繕を計画できる。
固定資産税や修繕費までも手取りの25%の中に組み込んでしまうことで、収入が大幅に減ることがない限り住宅費の心配をすることがなくなる。
何歳まで住宅ローンを支払うかを決める。
月の返済額の予算が決まれば、あとは何歳まで住宅ローンを払うかでトータルな予算を求めることができる。
私は当時の会社の定年(60歳)までに支払いが終わらせたいと考えていた。
購入検討時34歳だったので、60歳まで26年。
物件がすぐ見つかるか分からなかったので、1年を差し引き最長25年(300ヶ月)以内とした。
条件3で算出した月返済額4万円に300か月をかけると次のとおり。
4万円 × 300ヶ月 = 1200万円(C)
Cから不動産屋へ支払う紹介手数料などの諸経費(10%)を差引く。
1200万円 × 120万円 = 10,800,000円
この10,800,000円を銀行からの借入予算額とした。
借入予算額なので、総支払額の予算でないことを補足しておく。
ここで言う総支払額とは、次のことを指す。
- 建物の価格
- 土地の価格
- 諸費用(登記費用や税金など含む)
- 住宅に関する保険料
- 引越費用
と言うのは、家購入について結婚と同時に資金を貯めていたので、1080万円を越えた部分へ頭金を入れる余裕があったからである。
当時の記録で家計の預金残高は約380万円。
その中から頭金として最大200万円の準備があった。
残りの180万円は引っ越し代と当面の生活費である。
当時の手取りは約22万円で、180万円残した場合は約8か月分。
生活費は12か月分欲しかったところだが、実際には22万円全てが生活費としてかかっているわけでは無かったので良しとした。
条件4へ頭金の最大金額を足すと、1080万円+200万円=1280万円
これで家を買うための総支払額の予算が決定となった。
余談になるが、長く借りて(35年、70歳まで)、繰上返済前提でローン支払月額を減らすという考え方もある。
支払月額を下げることで予算をもう少し上乗せしたり、ボーナスが出たときなどに繰上げをおこなって最終的に定年までに返済するというシミュレーションも可能となるのだ。
ただし長く借りればそれだけトータルの支払額は増えるので、そこはそれぞれがどう考えるかということになる。
私の考えはローン期間を長くして支払月額を減らした場合、いざきつくなった時に生活レベルを下げられない危険性が高いと見ていたので、60歳までに繰上げなしで住宅ローン完済という結論に至っている。
総支払予算額から家の種類を決める
予算決定後は、物件の種類を決めることにした。
家の種類を決める
- 新築一戸建て
- 中古一戸建て
- 新築マンション
- 中古マンション
- やっぱり賃貸にする
予算額(1280万円)からして、土地を持っていない限り新築物件は無理である。
あいにく土地は所有していなかったので、この時点で中古一戸建て、中古マンション、それから購入をあきらめて賃貸にするの3つに絞られた。
賃貸を継続するのは最終手段として、一戸建てかマンションか。
それぞれ良い点、悪い点はあるのだが、それ以前に決定的な理由があった。
マンションを選ばなかった理由=修繕積立金の存在
- ローンを完済しても、管理費や修繕積立金の支払が続く。
- 修繕積立金は築年数が経つと値上がりすることがある。
- 修繕積立金の範囲は共益部分。自室の修繕は自己負担。
- 大規模修繕で積立金が足りない場合は、住民が追加で負担する。
共用部分と所有する専有部分の2つの修繕費がかかってくるというのがどうしても嫌だった。
しかも調べてみると修繕積立金って結構高い。
予算内の物件で20,000~30,000円/月ってのもあった。
これを払うのだったら、更新料がかかっても賃貸のほうが断然いい。
逆に中古一戸建てを買おうした理由は、下のとおり。
- 予算内に収まり、修繕費を計画的に考えられる。
- 完成しているので、家具の配置をイメージしやすい。
- 既に周りに人が住んでいる為、生活のイメージがしやすい。
- 中古なので、子どもにいたずらされたり、汚されても気にしなくて良い。
2018年1月追記
私の家がある近くの中古マンションのチラシがポストに投げ込まれていたので、管理費や修繕積立金などのデータを追記しておく。
住宅ローンを完済してもこの金額の支払いは続き、自室の修繕費も別途考えておくことがあるということである。
【物件1】
中古マンション、駅まで徒歩3分
5階建ての4階、3LDK
築28年、2017年リフォーム済
管理形態:全部委託
物件価格:1,000万円
管理費:5,200円
修繕積立金:1,750円
棟別修繕積立金:8,600円
住宅ローン月額:35年変動金利0.875%で27,622円
住宅ローン以外の月額支払:15,550円(5,200+1,750+8,600)
月額合計:43,172円
【物件2】
中古マンション、駅まで徒歩3分
5階建ての1階(庭付き)、3LDK
築32年、リフォーム後引き渡し
管理形態:全部委託
物件価格:1,280万円
管理費:5,600円
修繕積立金:300円
棟別修繕積立金:8,200円
専用庭使用料:200円
住宅ローン月額:35年変動金利0.875%で35,390円
住宅ローン以外の月額支払:14,300円(5,600+300+8,200+200)
月額合計:49,690円
事前に自分の家計を把握して、家探しを
中古住宅に限らず、家を購入するとなれば事前準備は重要だ。
ここできちんとした家計分析をしておかないと、無理なローンを組んでしまうことにもなりかねない。
私は不動産屋へ行く前に、元妻へ家計の状況をあらためて見える化した。
双方の意見を取り入れながら、生まれてくる子どもも楽しく暮らすにはどういう家が良いかをネットで調べたり、本を買って読んだりした。
私は相談しなかったが、ファイナンシャルプランナーなどプロの目でのチェックも良いかもしれない。
1つ注意するなら、最初の段階から不動産屋へいかないこと。
何故なら、プロはプロでも不動産売買の専門家であって、家計の専門家ではないから。
家は人生の中で一番大きい買い物。自分がいくらまでなら払えるか、事前に自己分析をおこない、予算と条件を決めてから物件探しに臨みたい。
今回は間取り、予算、家の種類の決定までを書いた。
イメージが定まり、物件を購入するとなったら、いざ不動産屋へ。
買おうとした理由が果たして正しかったのかどうか。
そして、予算どおりの家があったのか。
最後に中古一戸建てを選ぶときに不動産屋でのやりとりや内覧時に感じたことなど、私の経験談を書いた記事のリンクを紹介しておきます。
続きの体験記事 ・中古住宅の内覧時に見るべきポイントと却下したポイント
今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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