税収しか考えてないなら、働き方改革は失敗するだけだ。

働き方改革は国民の意識改革が必須との言葉が踊っている。

景気の良かった時代すら、わが国ではサービス残業が横行していたというから確かに我々日本人の意識改革は必要なのかもしれない。

だったら、改革を進める側も国民なんだから意識改革したほうが良いと思う。

サービス残業、副業、子育て政策について、労務管理側と労働者側で働いてきた経験から書いてみたいと思う。

働き方改革って要は税金寄こせってことでしょアイキャッチ

目次

サービス残業は搾取残業

日本の多くの会社は納期は守らせるのに、定時は守らせないんだよな。

リンはサービス残業自体も嫌いだが、表現も嫌いだ。

24時間連続勤務、14日間連続出勤、月労働時間300時間超なのに管理監督者扱いで役職手当の支給のみを経験したこともある身としては、再び聞きたくも無い言葉である。

サービスなんてぬるい表現ではなくて、いっそ搾取残業とか奴隷残業とか言ってしまえば良いのにと思う。

あ、古代の奴隷の労働にはきちんと対価が支払われていたというから、奴隷より下だ。

となると搾取残業の方がいいか。

数年前から厚生労働省(以下厚労省)は長時間労働の是正を掲げ、労働局の出先機関である労働基準監督署(以下監督署)の臨検を強化している。

リンが勤めていた会社でもここ数年臨検が何度か来た。

で、監督署や労働基準監督官(以下監督官)と実際に話をして、接することができたのだが、監督署の立場は非常に微妙な立ち位置といわざるを得ない。

残していく是正勧告書や指導書には労働者の健康の問題を前面に持ち出してはいる。

だが、残業代に相当するものさえ払っていれば当然のことながら何も言うことができない。

ではなぜ長時間労働の是正指導をおこなうのか?

答えは税収である。

財務省ホームページ~主要税目の税収を見ると、所得税も法人税も景気の良かった時代と比べて厳しい状況だが、法人税は意外とピーク時でも税収額が低いことが分かる。

反対に所得税のピーク時(26.7兆円・平成3年)は、平成27年のデータ(16.4兆円)と比較して10兆円以上差がある。

さらに消費税の収入を見ると、平成27年で17兆円を超えて、所得税を上回っている。

このデータが示すものは、税収をあげたければ会社ではなく、個人を狙い撃ちすればいいということである。

消費税のような直接的に支払う税金は批判を浴びやすいから、会社の長時間労働を是正し、健康経営という大義名分により会社だけを悪者にしようとしたのかもしれない。

だが、みなし残業代(固定残業代)を盛り込み、残業代ありきの給与体系へと変換することで総支給額を変えずにすることは、固定的な賃金が最低賃金を下回らない限り可能である。

所得が増えないということは、所得税や社会保険料の上積みは期待できない。

思惑通りに税収は増えないってことですよ。

プレミアムフライデーの意図が分からない

政府の方針は、時間に対して賃金を支払いなさいということ。

それなのに何故月末金曜の就業時間を減らすというような施策を打ったのか。

就業時間減=賃金減なのだから、早く帰れてもその分可処分所得は減るわけだからお金が飲食店や小売店に落ちないだろう。

飲食店や小売店の従業員にしたって定時時間内であれば割増賃金が発生しないから、例え効果があったとしても忙しくなるだけで賃金は増えないわけだからまったくもって意図が分からない。

企業は従業員が早く帰ればその分賃金を減らすということを考えるということが分かっていないのだろうか?

もう一度言うが、政府や厚労省は「時間に対して賃金を払いなさい」というスタンスだから。

賃金減の施策で消費を拡大しようとしても効果は薄いだろう。

実際にプレミアムフライデーという言葉はネガティブなイメージで使われることの方が多い。

まだ労働基準法の週の労働時間を40時間とするところを、38時間なり36時間として企業に対して割増賃金の割合を増やすことを施策を打った方が良いのではないか。

もちろん法人税の減税を合わせての上だ。

副業の容認

さらに厚労省は働き方改革やモデル就業規則で副業の容認を打ち出してきた。

これはここ数年、厚労省が力を入れてきた長時間労働の是正という観点で見れば、逆行しているように見える。

だが、そもそも一労働者の健康など実はどうでもよく、税収を増やすという観点で考えるとどうだろうか。

一企業が一労働者に支払える賃金は決まっていて、長時間労働の是正だけでは解決しない。

固定残業代がいい例だし、残業代を払うことを前提として、ブラックではないがそこに近い形で賃金を支払うようになる。

だったら、個人に複数の企業で働いてもらって、税収増やそうぜってことかな?

本業の会社に社会保険料を負担させ、副業の会社に割増賃金を負担させるという感じ。

賃金のシェアリングってわけですか。

現行法の落とし穴

副業の容認については、現行法には大きな落とし穴がある。

それは労務管理だ。

例えば本業で8時間労働した後に副業する場合、副業の職場では最初から基本給の1.25倍を支払わなくてはならない。

本業+副業でも1日8時間を超えて働く部分への割増賃金は発生するからである。

この割増分の賃金は副業先が支払う義務がある。

この1日8時間をどの会社がどう管理するかという問題が発生する。

残業の場合は同一の職場なので、そのまま割増が発生するということはすんなりいくが、副業の場合には、現状なかなかにハードルが高いのではないだろうか。

また労働災害(労災)が発生した場合、どちらの会社に起因しているものかを特定するのは難しい。従業員の副業先がブラックで、巻き込まれる可能性もある。

就業規則で副業を禁止している場合、この労務管理リスクから禁止している場合もあることを忘れてはならない。

業務委託などの契約や、成果報酬で支払われる副業であればこの割増賃金の問題を回避できるかもしれない。

だが大部分の人は時間を賃金に替える形(時給や月給)での副業をするのではないだろうか。

なぜなら、成果報酬型の副業はすぐには結果が出ないことが多いからである。

業務委託型も委託する側が労務管理を放棄できる割に、あまり報酬が高くない印象がある。

これは誰でもできる業務が業務委託になりやすいからだろう。

これも、時間給で働く副業に押しやる要因となる。

うまく法整備もやらないと、残業ありきの賃金体系になってしまうのと同じで、副業ありきの賃金体系になってしまわないか心配である。

子育て政策の稚拙さ

子育て政策についても、将来の納税者という観点しかないのではないかというくらい稚拙だ。

会社だけでなく学校などの教育機関の在り方も見直していかなければならないんじゃないかと思う。

例えば、土日祝日を休みとすることに軸足を置くのであれば、会社だけでなく学校の現場も連動させる。

部活動も土日祝日までやることないんだよ。特に中学校。

リンは部活動については、いい思い出がないのでとことん土日祝日の活動否定派である。

とことん勝ちたい、トップに行きたい!って方は学校の部活動以外でやればいいし、そういう場所が学校以外にどんどんできて然るべきだと思う。

各地域でそのスポーツを切磋琢磨する場所が

その方が指導者が少なくて済むし、学校の先生の負担が減るでしょ。

キッズウイークはそのまま導入すれば、春休み、夏休み、冬休みに加えて親の負担増になるだけだ。

これだけ働き方が多様化している中、みんなでお休みしようっていう日を増やす考えがわからない。

みんなで休むを増やせば増やすほど、接客業は休みが減るって気づかないのかな。

接客業で働いていたころは、結婚や育児なんて全く考えられなかったもんな。

政府が少子化はもうどうでもよくて、控除金額が少なくて税金の高い独身層にターゲットを絞っているのなら話は別だけど。

でなければ、いっそ企業ごとの最低休日数を決めてしまえばいいと思う。

休日格差っていうのもあるし、めちゃくちゃ働いて稼ぎたいって人は副業すればいい。

最低休日数が決まってしまえば、業態ごとに休みはズレる。競合他社で副業される心配もない。

一企業にそれほどこだわりを持つ必要なんかないんだよな。

娘が生まれてから、本当にそれを感じるようになった。

最後に

うがった捉え方なのかもしれないけど、働き方改革という言葉を聞くたびに「税金足りないよー。税金ちょうだい!」にしか聞こえない。

税収は確かに国がやっていくには必要不可欠なものであるし、納税は国民の義務でもある。

だが小さい子どもならともかく、ここまで露骨にお金ちょうだいというのが見え隠れすると閉口してしまう。

もし官僚や政治家が税収と自分の実績しか考えていないのだとすれば、働き方改革は失敗する。

税収ありきの政策や施策ではなくて、結果税収が増えていたというような政策や施策でなければ長期的なものにはならないだろう。

娘が成長して働きはじめる時、日本の労働環境が今よりひどい状況になっていないことを祈るばかりである。

その時は外国に活路を見出すしかないか(笑

今回はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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