日本では、まだまだ男性の育休取得率は低い。
厚生労働省の調査によると、平成28年度では男性の育休取得率は3.16%(女性は81.8%)。
100人いたら、3人しかとっていないということになる。
しかもこれ、育休をとれたとしても配偶者の出産後2、3日とか1週間程度の休みも育休に含まれている。
育児休暇だと会社は給与を支払う義務がないし、1週間程度だと有給休暇でまかなえるからほとんどの人は年次有給休暇の方を使ってそう。
私の場合は娘が産まれたときは就業規則で妻の出産による特別休暇で5日間は有給の休みだった。
それ以上の期間をとるとするならば、やはり育児休暇ではなく、年次有給休暇を使ったと思う。
育休の代わりに有給休暇を使用した人を加えれば、子どもが生まれた時や育児のために会社を休んだ人は多いかもしれないが、これが日本の現状である。
では何故男性の育休取得が広がらないのだろうか。
それは会社が、あまりにも近視眼的な目で男性の育児休暇を見ているからではないだろうか。
ひとり親で娘を育ててきて、私は男性がまとまった育休を取得できることを推進することが会社の発展につながるという考えを持った。
今回はその考えを述べていきたいと思う。
目次
育休推進は優秀な人材の囲い込みにつながる
「育休が会社にとってメリットがあるのか?」
自社の従業員や業務内容だけで見てしまうと、育休推進は会社にとってメリットがないという考えが浮かんでしまいがちだ。
代替要員の確保により人件費が増大したり、引継ぎを容易にするために業務を平準化しなければならなかったりで、短中期的に見ればコスト増になることが目に見えているからである。
だが、考えてみてほしい。
アマゾンやセブンイレブンなど業績を大きく伸ばし続けている会社は、ほとんどの場合顧客最優先主義である。
中小企業でも「お客様のことを考えて行動しろ」従業員を指導教育しているところも多々あるかと思う。
だが従業員も消費者であり、つまるところお客様なのだ。
いくらお客様最優先と上から指導教育したところで、この考えが会社になかったら従業員は顧客最優先など考えることはできないのである。
会社が従業員を大切にしなければ、従業員もまたお客様を大切にはできない。
反対に会社が顧客と同じくらい従業員を大切にするということは大きなメリットを産み出す。
男性がまとまった育児休暇をとれるということは、必然的に女性の出産育児に対して理解がある。
それは会社に対して、予測されるライフスタイルに対して気兼ねなく働くことができるという安心感が生まれる。
会社は地域社会と密接な関わりを持って存在し得ている。
その密接な関わりの1つが雇用である。
会社が地域の雇用を創出し、地域社会はその会社から賃金を得ることによって地域社会の活性化へとつながっている。
従業員を大切にし育休を推進した結果、黙っていても地域社会から「この会社で働きたい」という人々が増えていき、優秀な人材の囲い込みにつながる。
これは会社にとって大きなメリットではないだろうか。
長期育休は従業員の創造性を高める
会社は労働者にとっては社会との重要な接点であり、コミュニティだ。
だが、少ないコミュニティにしか接点がなければ創造的な発想は生まれてこない。
残業が多ければ人生の大半を会社と自宅の往復のみに費やし、価値観も固定しがちになってしまうからである。
会社=社会になってしまうと、いざ仕事を引退した時に何をすればいいかわからなくなってしまうだろう。
主婦や兼業ママから起業し成功する人が多いのは、その方の努力や能力が一番だが、やはり日本の女性は地域・学校・会社と複数のコミュニティと深くかかわりを持ち、それぞれのタスクをこなさなければならないことで、多様な価値観と触れ合うことができるからなのだと思う。
男性でも成功している方々は、1つの会社にとらわれず、絶えず異なる環境に身を置いている様に感じる。
だから女性の社会進出とは言うけれども、女性はとうの昔に社会進出を果たしており、社会進出できていないのは育休すらまともに取れない男性の方なのである。
会社が従業員を会社というコミュニティに属しながら自社以外のコミュニティに長期的に触れ合える機会を与えるということは、会社に対して大きなフィードバックをもたらす。
これもまた育休推進がもたらすメリットになるのではないだろうか。
最後に
男性の育休を推進し、まとまった育休を取得できる会社は、まとめると以下のとおりになる。
・従業員を大切にしている
・出産育児という必ずしも計画的に行かないことに対して柔軟に対処できる
・業務が最適化されており、引継ぎが容易である
・最適化されているということは育休明けの職場復帰にも不安が少ない
・男性が育休をとれるということは女性にも優しい会社である
その結果、会社にもたらされるであろうメリットは大きく2つ。
・優秀な人材を囲い込むことができる。
・従業員の創造性を高めることができる。
単に育児休暇を取らせる実績を作るだけならば簡単だ。
男性の超短期な育休(1日など)でも実績とはなり、助成金や子育てに優しい企業の認定条件(くるみん認定制度など)は満たす。
だから会社は特に男性の育児に関して手厚い制度を設けなくても、助成金や認定を取得できるのだ。
そんな中、男性がまとまった育休をとれるという会社は良い会社の証拠である。
男性が気兼ねなく育休をとれる制度を確立し、それを文章だけではなく運用できている会社は素晴らしいと思う。
運用するのは物流の構築と同じで、一朝一夕に実現できることではないし、後発がおいそれとまねできるものではないからである。
男性の育休推進は会社も従業員もそれぞれがメリットを享受できる。
少子化が進む現在、生き残りつつも伸びる会社はこういう会社だろう。
今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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