食育というと、よく農家の方の話やスーパーなどの小売店、ファーストフード店の話が持ち出されることが多いが、抜け落ちている視点がある。
それは、食品を運ぶ物流の存在である。
物流は私たちが食べるために、必要なものを・必要な時・必要な量を・必要な場所へ運ぶことを要諦とした兵站(ロジスティクス)の考えを元にビジネスロジスティクスとも呼ばれる。
小学校や中学校の給食に使用される食材も、いわば物流を介して輸送されるものであり、安全な食品を子どもたちに届けるために、様々な安全管理・衛生管理がされている。
そういった物流の工程を絡めずして、本当の意味での食育ができるのだろうか?
目次
物流も食育の重要な柱だ
物流は目立たないがなくてはならない存在であることは誰しも認めるところだろう。
いくら農家の方が丹精込めて作った作物も、物流がスムーズになっていないと私たちの食卓までは届かない。
生鮮食品などの倉庫は低温度帯で24時間365日稼働のところが多い。
また食品を物理的に運ぶトラックドライバーの方々も然りである。
誤解を怖れずに言えば、ある意味農家の方々よりも過酷な環境で働いて食品を動かしている方々の存在を忘れてはならない。
これはどの職種がきついとかとかそういう話ではなくて、一連の流れの中で物流だけがスポットが当たっていないように思えるからである。
しかもこの物流の業界に従事している方の給与水準は他の産業と比較して決して高いものではない。
24時間365日で食品を動かしている方々がいてこそ、昔では考えらなかった遠方の食材も鮮度が落ちないうちに小売店あるいは直接家庭へと届けられるのだ。
生産者と消費者をつなぐのは、なにもスーパーなどの小売店だけではない。
物流も食育の大きな柱である。
物流倉庫の見学があっても面白いのでは
農林水産省のサイトに、食育の推進というページがある。
そしてこのページのコンテンツに全国工場見学・市場見学一覧というものがある。
農林水産省サイト:全国工場見学・市場見学一覧(あたらしいタブで開きます)
この中に物流倉庫の見学というものが見当たらない。
リンは千葉県にある生鮮食品の冷蔵倉庫を見学したことがある。
夏でも冬でも庫内は一定温度(3℃や10℃など)に保たれ、絶えず人が動いている。
見学に行ったのは夏の昼間であるが、夜も同じような光景が見られるのだろう。
普段食べているものがこういったところで仕分けされ、全国へ配送されているのかという勉強になったのを覚えている。
衛生管理的になかなか食品物流倉庫の見学というのは難しいのかもしれないが、是非とも取り入れてほしい。
物流倉庫は普段見る機会が少ないからこそ、子どもにとっても良い刺激になるのではないだろうか。
もしかしてと国土交通省のサイトに食育の一環で物流倉庫見学があるかと閲覧してみたが、残念ながら見当たらなかった。
メーカーと小売店だけで捉えるのではなく、もっとこういった中間の物流も絡めて考えていくべきだろう。
最後に
ペットボトルに入った飲料水やレトルト食品を扱う倉庫は、常温倉庫で生鮮品を取り扱う冷蔵倉庫と比較して衛生管理面ではさほど厳しくはないので、見学も比較的ハードルが低いだろう。
24時間365日稼働ということで、現場がかなり殺気立っていたり、フォークリフトなどの機械が走り回っていることもあるので、そういった安全管理面では障壁があるのかもしれないが。
いずれにせよ食育の取り組みをする際、生産と販売の面ではなく、入出庫・在庫管理・保管・包装・輸送という幅広い役割を担っている物流の存在を、もっと子どもたちに知ってもらうべきではないだろうか。
今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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